大人の生徒さん、Sさんの娘さんのお話です。
Sさんの娘さんは年長さんで、バレエを習っています。
もうすぐバレエの発表会。
先生は世界の舞台で踊って来た方で、発表会の準備ともなると熱が入ります。
理不尽なことは言わないけれど、大人でも委縮してしまいそうなくらいに空気が張り詰め、緊張感のある厳しいリハーサルが行われる中、初めて強い口調で先生に指摘をされた娘さんは、
「バレエのレッスンに行きたくない・・・」
と、暗い表情を浮かべるようになりました。
リハーサルで強い指摘を受けた夜は、ご飯も喉を通らなかったそうです。
初めて見る、元気のない娘さんのに様子に、お母様は
(そんなに辛ければやめてもいいのではないか・・)
と感じられたそうです。
同じ状況であれば、きっと私もそう思ったと思います。
さて、それからしばらくしても、娘さんの口から
「バレエをやめる」
という言葉はないものの、次のレッスンも同じような状態で同じように行ったら同じような結果になってしまうと感じたお母様は、
「練習してみる?」
と、娘さんに声をかけ、娘さんが「うん」と返事をされたので、踊りの動画を見ながら、一緒に練習を始めたそうです。
練習を始めてみると、できなかったこと、わからなかったことがすこ~しずつ、できるように、わかるようになってきます。
もちろんできないことにもぶつかるのですが、練習を始めてしばらくすると、娘さんは、
「もう1回!」「もう1回!」
と、何度も何度も諦めずに練習をするようになりました。
そうして迎えた次のレッスン。
娘さんの中で何かが変わったのか、先生に厳しくアドバイスされても、もうへこたれません。
表情も、以前と異なりきりっと引き締まっています。
「私は、やる!」
と、どこかで腹が据わったのでしょう。
子供には、乗り越えていく力があるのですね。
Sさんの娘さんは、これから何か困難があったとき、きっとこの経験を思い出し、自分を助ける力として生かしていくことができるでしょう。
ただ、子供はそれぞれです。色々なタイプの子がいますし、状況も様々です。
ですので、一概にこうすべき、という形はありません。
それに、習い事は本当に嫌いでやめたいのであれば、すぱっとやめるのも良いと思います。
ただ、乗り越えるべきものが嫌いでないのなら・・・。
困難から逃げずに、やり遂げて欲しいです。
そしてそのときには、子供の場合、やはり一番近くのご両親のサポートがあると心強いですね。
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