日本クラシック音楽コンクール予選の審査をして来ました。
現在オンラインで行われるコンクールが多い中、こちらのコンクールは、「演奏はやはりホールで人前で弾くことに良さがある」という考えの下、感染症対策をしっかりと行った上で、ホール内の観客人数もかなり絞って行われました。
私が審査をしたのは、中学生、高校生、音大生、そして一般の参加者の方。
一般というのは、音楽大学以外の大学生や社会人の方などで、20代から60代70代くらいかな?と思われる方までが参加されていらっしゃいました。
このコンクール、そういえば私も高校生の時に参加して、初めてコンクールで賞金というものを頂いた思い出のあるコンクールです^^
中学受験などでなかなかピアノが長く続けられない中、中学生になってもピアノが続いており、コンクールを受けようと思える方というのはやはり皆さんきちんと弾けていて、よたよたした演奏をされる人は一人もいらっしゃいませんでした。
高校生、音大生、そして一般の方も、皆様それぞれに本当に一生懸命に準備をされたであろうことが伝わる誠実な演奏で、緊張感のある中で立派に弾かれたと思います。
コンクールでは、講評やアドバイスを書いて差し上げるのですが、私自身が苦しい思いをしてコンクールを受けてきた記憶から、できる限りその方の良いところを見つけ、励みになるようなアドバイスを書こうと心掛けました。
きちんと考えられた上で、それを自分のものとし、演奏者の身体の中から自然に湧き出てくるような豊かな流れを持った音楽は、審査していることを忘れて聴く者を楽しませてくれます。
そういう音楽が演奏者から紡ぎ出されるとき、演奏者の存在そのものはとても薄くなり、その音楽だけが立ち
昇ってきます。
そのときには、演奏者がどう弾けた、弾けない、などということは消え去り、音楽に惹き込まれた聴き手と演奏者の心が通う空間、時間が生まれます。
これが、演奏者が己に囚われず心を開き、「観客と音楽でコミュニケーションする」「観客と共に音楽を楽しむ」という状態なのではないかな、と思います。
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