楽譜を読む。
調性、拍子、音とリズムを理解して読んでいく、というのはもちろんですが、実は楽譜を読むというのは「楽譜に書かれていないことを読み取っていく」ということだと思います。
例えば今日の小学生の生徒さんのレッスンで使ったシンプルな曲、「シリアに寄せて」。
まず、「アンダンテ」で「感情をこめて」と書いてありますので、すたこらさっさと元気に弾く曲ではなく、しっとりと歌うように弾くのだな、と理解できます。タッチは鍵盤深くたっぷりと弾くのが良いでしょう。
フレーズは4小節フレーズ。フレーズとは音楽の言葉、文章です。
オレンジで囲ったところまで息継ぎなしで一息に弾く部分です。
生徒さんとは、このフレーズをどう作るか、ということを一緒に考えていきます。
例えばフレーズの山はどこか。
1つの解釈として、3小節目の「ラ」の音に向かっていくと考えることができます。
また、オレンジで囲った同じフレーズが3回ありますので、どのように弾き分けるか、ということも考える必要があります。
例えばオレンジのフレーズの2回目は、今度は6小節目の「ラ」にほんの少しだけ向かっていくようにして、全体的に少し弱めに、さっぱりと弾くということもできると思います。
2回同じようにたっぷり歌ってしまう(弾いてしまう)とちょっとしつこくなってしまいますので。
その後は、青の部分の男性の歌、ピンクの部分の女性の歌がそれぞれ始まり、共に歌う形となります。
この曲の一番の盛り上がりの箇所ですね!
赤で「6度」と書いたところは、「レ」→「シ」に6度の音程で上がります。
今まで比較的穏やかに動いていたフレーズが、ぴょーんと6度も跳躍します。
とてもエネルギーのある箇所です。
一気に階段を6段上るようなイメージでしょうか。
6度の音程は、ロマン派では「憧れ」を表しているとも言われています。
どんなシンプルな曲の中にも、きっと自分なりに楽譜から見つけられることがあります。
生徒さんには、シンプルな曲を練習するときから、楽譜を読んでいく楽しさを味わって頂きたいな、と思っています。