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発表会演奏動画 ギロックより


動画の生徒さんは小学校1年生になったばかりのYちゃん。

近所なので、私を見つけるといつも元気に「先生!」と呼んでくれます。音楽を大事に感じて、音を大切に出すことができる生徒さんで、いつもすごく自然な音楽を演奏されます。

Yちゃんはこの演奏の後、それまで張りつめていたものが溶けたのか、号泣してしまったそう。

発表会前、Yちゃんの家の前を夕方通ると、毎日必ずピアノを練習する音が聞こえていました。小学生になられて新しい生活に慣れるだけでも大変な中、頑張ってくれていたのですね。

一方、何十年前の発表会でのトラウマがあって、発表会に出るか出ないかをずっと迷われてい

た女性。

ご自身で出ることを決められ、緊張緊張で迎えた本番。私もドキドキしながら聴きました。

しかし本番前に本当にしっかりと準備され、緊張する場も何回か設けて練習したこともあり、本番は緊張が良い形での集中となり、今までで最も素晴らしい演奏をされました。

でもご自身は、「ただひたすら丁寧に弾こうと思っていました。楽譜とピアノの鍵盤しか見えていなくて、実はあまりよく覚えていないんです。」とのこと。

きっとご自身が弾く曲に本当に集中していて、それ以外のことは耳にも目にも入ってこなかったような状態だったのでしょう。

こんなことは、なかなか日常生活では味わうことがないのではないでしょうか。

本番のホールは数百人も入るコンサートホールで、舞台に出たら一人です。

どんな事が起こっても、自分の力で何とかするしかありません。

今回は私もラフマニノフのプレリュードを演奏しましたが、本番は毎回寿命が縮むなぁ・・・と思います。(笑)

本番の大小に関わらず、そのくらい未だに毎回緊張します。

でもまた弾きたいと思ってしまうのですから不思議です。

自分ひとりでただ練習するのではなく、聴いて頂きたいという気持ちも大きいですし、本番の緊張感や、コンサートに向けて練習する時間は、とてもとても大変ではありますが、眠っていた細胞がぴちぴちっ!と目覚めるような、独特の張りのある時間なんですね。

ときにはこんな時間が生活の中にあることも、なかなか面白い人生かな。

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