ロシア奏法によるピアノ教本「はじめの一歩」、須田美穂先生のセミナーを聴講しました。
先生の音楽は日本人離れしていて、いつもその音楽は物語や情景が目に浮かぶようでした。
それは、先生の演奏が魅力的なのは勿論のこと、レッスンで使われる一つ一つの言葉も温かく、夢があるからだと思います。
技術的なことでは、
●1音1音を大事に弾くのではなく、流れを大切にすること。1音ずつしっかり弾かないという勇気を持つこと。
●例えば壊れそうなガラス細工のような大事なものを、そっと持ってそっと置くように、ピアノの鍵盤を触るときも、最初から意志を持って鍵盤に触ること。
響きを手の中で作り、思いを入れること。
そして身体全体から音を出すため、呼吸が自然に深くなるということ。
●明るい音を出すときは重みを前にかけて、手も開くように、やわらかい音、暗い音を出すときは引っ張るようにし、手も閉じるように使うこと。
などなど、実際の演奏で示しながらお話して下さいました。
「その曲をどう思うか、どんなイメージでどう弾きたいか」
ということを生徒さんに自分で考えて頂くことを大切にしていらっしゃり、自分が弾いている実際の音がどう鳴っているかを、耳を澄ませて客観的によく聴くこともとても大事にされていました。
私達教師に対しても、ロシア奏法を完全に習得してから使おうとするのではなく、それぞれに考えながら、今日からでも使って下さい、というようにおっしゃっていました。
学んだことを、一度自分で考えて消化する。
そしてそれを実践で試し、生徒さんの様子を見ながらまた学び続け、少しずつ理解しながら自分のものにしていくということでしょうか。
久しぶりに時間を作って行くことができた講座は、新しい扉が少し開いた気がして、とても幸せな時間でした。