訪問コンサート当日のAちゃんのレッスン。
Aちゃんの力であれば十分弾けるであろう箇所で、何故かしょっちゅう間違えてしまう。
どうしてだろう?と色々考えたのですが、多分Aちゃん自身が自分が弾いている曲をあまり好きではないのかな?と感じ、Aちゃんに尋ねてみると、やはりあまり好きではないのだと・・・。
Aちゃんの気持ちはわかるし、好き嫌いというのはあって当然だけれど、まだたくさん色々吸収できる子どものうちは、私としてはできるだけ様々な曲に触れて欲しい。
そのことは、底力をつけ、可能性を広げるし、好きなものにも深みや厚みが加わると思うから。
Aちゃんが弾いていたのは美しい伴奏で編曲された、日本の有名な唱歌、「海」。きれいに弾くと本当に素敵なんですね。
今回のコンサートは、自分のために弾くというよりは、演奏を楽しみにしていて下さる高齢者ホームの入居者様に喜んで頂けるように、一人のピアニストとなってお客様に楽しんで頂けるよう努めるのが目的。
ピアニストは俳優と似ているなぁ・・と私はよく思います。
弾いて欲しいとリクエストされる曲が、自分の好みのものとは限らないでしょう。
でも、できるだけその曲を理解しようと努め、真摯に向き合っていくうちに、魅力が少しずつわかってくる。
最初はよくわからなかったものも、最後には好きになっていたりもします。
そして、どんなに自分が悲しい気持ちでも、すごく楽しい曲を弾かなくてはならないときもあるし、その逆も然り。
凛とした誇らしげな気持ち、突き進んでいくような逞しい精神、涙がほろほろ出るような悲しみ、喜びに溢れた場面、などなど・・・・。
俳優が役を演じるように、ピアニストもその曲を理解し演じるのだと思います。
Aちゃんにはそんな話をして、「今日のコンサートは女優さんになってね!」と言ってレッスンを終えましたが、本番ではレッスンのときとは見違えるような心のこもった演奏をしてくれました^^