4本の手で弾く


本日のHさんのレッスンは、ブラームスの作品118-2でした。

ブラームスが晩年に書いた、切なく美しい曲です。

ブラームスの曲は音が多く響きが豊かなのですが、その豊かな響きから一転、ぽつん、と一つの音になる箇所があります。

私はその音を弾くたびに、気が付いたら誰もおらず、何もなく、独りぼっちだった・・・という情景が浮かび、モノトーンの非常に孤独な音に聞こえます。

そしてその孤独な感じを出すのには、独特のペダリングが必要です。

ほんのちょっとしたことなのですが、どこでペダルを外し、どこで踏むのか、または、5ミリ踏むのか足をかけるだけなのか、下まで踏むのか・・などなど、ペダリングには様々な技術があります。

フランスのときについていたピアニストのフセイン・セルメット氏は、いつも「ピアノは4本の手(つまり、右手、左手、左右のペダル)で弾くんだ」と言っていました。

Hさんのレッスンの後はKくんのレッスンだったのですが、Hさんのレッスンを聴いていらしたKくんのお母様が、

「ペダル一つであんなに音が変わるんですね!」

と驚いていらっしゃいました。

様々なペダルの技術。

多分さらっと聴くと美しく自然に聞こえるだけなので(美しく自然に聞こえるということはとても難しいことなのですが)、特に何もしていないように聴こえると思うのですが、弾く立場では、考え抜かれている必要がありますね。

プロが作る料理、みたいなものでしょうか。


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