今年はコンクールの審査をしたり、生徒さんが受けたりして、私にしては珍しくコンクールに関わる年になっています。
先日はあるコンクールの予選が終わりました。
結果を見て、(ああ、コンクールって何十年も変わってないんだなぁ・・)という思いを抱きました。
というのは、例えば少し大人しい演奏、もしくは少しテクニックが弱くても、よく考えられ、音楽を大事に感じて弾いている良い演奏よりは、ただばしゃばしゃ弾いて、強い音が出るとか指が良く回るとか・・・魅力がないけれども強い、という演奏の方が合格してしまう・・・。
もちろん、どんなコンクールでも圧倒的に素晴らしくテクニックもあり、音楽的にも優れた演奏は、大体合格するということもあるのだけれど。
一つ言えるのは、素晴らしい演奏が賞を取ることもあるけれど、コンクールで入賞する演奏=心に染み入る演奏とは限らない、ということでしょうか。
合格した人と、合格しなかった人を比べて、合格しなかった人の方が力がないということなど全く言えないし、運も多くある。
だから、コンクールを受けるのであれば、いちいち結果に翻弄されず、自分なりに受ける意味をはっきりさせることかな。
それから、落ちてもがっくりする必要もなく、課題を見つけて前向きに取り組めば良いし、受かったからと言って急に上手くなったわけでもないということ(笑)。
子供のコンクールで落ちた、受かった、て、実は本当にどちらでも良い小さなことなんですよね。そこに入り込んでしまうと、苦しい世界になってしまうのだけれど。
本来音楽を真剣に学んでいくことは、厳しくも、幸せなこと。
私は留学時代に恩師から、ずっと聴いていたいと思えるような幸せでたまらなくなるような演奏や、心を鷲掴みにされるよう演奏を間近に聴き、多くを学びました。
苦しいこともあったけれど、こんなにも深く、尊い世界を垣間見られたことは、ピアノ云々だけのことではなく、今を楽しく、幸せに生きるための力になっていると感じています。
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