~ レッスンで大切にしていること ~

●楽譜を深く読む
 
ピアノをただ弾くのではなく、楽譜を深く読み込んでいくということを心掛けています。演奏するということは、楽譜どおりの音とリズムで強弱がついていれば良い、というものではありません。
それでは誰が弾いても同じになってしまいます。
 
そうではなく、作曲者が何をしたかったのか、何を訴えたかったのかを自分なりに読み込み表現するところに面白さがあり、自然と個性が出て、心に伝わる演奏ができるのではないでしょうか。
 
作曲家が何歳くらいのときにどんな状態や気持ちでその曲を書いたのか、時代背景はどうだったのかなどを知ることも、その音楽を理解する助けになります。
 
 
楽譜を読むことは、本を読むことに似ています。
本も、そのときどきで自分が感じ取るもの、気づくことがありますよね。
 
楽譜も同じで、自分の変化や成長と共に、見えてくる世界が変わってきます。
 
 
~例えば、こんなことにも気を付けて楽譜を読んでいきます~
 
 
●弱くという意味の p (ピアノ)
 
p だからといって、いつもやさしく弱く弾くわけではありません。
爆発を前にしたエネルギーを溜め込んだ p もありますし、焦燥感、不安、おどろおどろしさを表す p もあります。
もちろん、愛情に満ちたやわらかい p や、祈りのような p もあります。
どんな p かによって、音に芯を作るのか、もやがかかったようにするのかなど、鍵盤のタッチも変えていく必要があります。
●フレーズの捉え方
 
息の浅い、落ち着かない繊細なフレーズなのか、それとも集中を切らさずに息長く、ぐーっと緊張を保って続けていくフレーズなのか。また、フレーズの目的地、頂点はどこなのか、などを考えます。
フレーズは音楽の言葉であり、歌です。
つまり、フレーズを考えることは呼吸を考えることに繋がります。
ピアノの曲も、実際に声に出して歌ってみることでフレーズが理解できることが多いです。
● sf (スフォルツァンド)について
 
ただ「その音を強く」と解釈して弾こうとすると違和感を感じることがあります。
 p (ピアノ)の中の sff (フォルテ)の中の sf では弾き方も異なりますし、音を強くという意味ではなく、「大事に弾いて」「時間をとって」という意味で捉えた方が良い場合もあります。
などなど、書いたらキリがないのですが、楽譜をよく読んでいくと、その音楽が平面ではなく、形を持って目に見えるように立体的になっていき、生きたものとして感じられるようになります。
そうして音楽が理解できると、「なんていい音楽なんだろう!」と思えると同時に、その音楽と自分が少し近づけた感じがして、弾くことがだんだん面白くなっていきます。
●音をつくる
ピアノはバイオリンなどと違い、弾けば誰でもすぐに正しい音程で音が出ますが、同じ楽器でも弾く人によって全く違う響きになります。
ピアノは打楽器です。
しかし音楽の基本は歌ですから、この打楽器を、どう歌のように歌わせるかというところが難しいところです。歌のように聞こえるためには、自然な呼吸やフレーズの抑揚、レガート奏法、音の濃淡を意識することが欠かせません。
また、ピアノという楽器は非常に豊かで様々な種類の音色を出すことができます。ただ f (フォルテ)なら 、 p (ピアノ)なら p 、と弾くのではなく、外向きの音なのか、内向きの音なのか、輝きを持った音なのか、くもらせた音なのか…など、音楽を考えていく中で意味のある音を出していきたいと思います。
音は音楽の命です。
そして音には不思議なことに、演奏する人の心の状態や人柄がそのまま全て表れるように思います。
無造作に音を出すのではなく、客観的によく聴くこと、そして、どのような音を出したいのか、明確なイメージを持って「音をつくる」ことを大切にしています。

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